株式会社日本経営

看護管理室の挑戦 古き良き時代を断捨離する(会議編)

著者名

兄井 利昌

2024年7月5日

1.会議・委員会の現状

会議・委員会を効果的に運用できている法人は多くありません。「正しい運用とは何か」が整理できていない法人も多いと思います。

また、毎月2回1時間30分の定例会議による状況報告や、毎月定例開催であるにも関わらず、参加者の意見交換がない委員会など、私たちの日常は会議・委員会で多くの時間をとっています。(当社調べでは、1ヶ月163時間の稼働として、約10%の16時間が会議・委員会に投下されています。これは職位が上がれば上がるほど多くなる傾向にあります。)この時間参加者の数をかけると、どれだけの膨大な時間が無駄になっているかおわかりでしょう。その後の内部周知にかかる時間や、資料準備にかかる時間などの時間を考えると、さらに時間やコストはかさみます。会議に参加している時間は、現場にいない時間と言い換えられますから、現場の人が足りなくなる、参加者は現場の進捗状況がわからなくなるなどの問題も、当然発生します。

会議・委員会が必要ないとは全く考えません。会議・委員会は組織運営において必須な仕組みです。ただ、人員と時間を投下するのであれば、成果が上がる制度として運用していくことを考えていく必要があります。

今回は、多くの時間を費やしている会議・委員会を効果的な運営とし、削減できた時間を現場に投下できる仕組みをご紹介したいと思います。

2.会議・委員会が上手くいかない理由

会議・委員会が上手くいかない理由はなんでしょうか。様々な理由がありますが、多くは以下が原因ではないでしょうか。

1.会議・委員会の目的が不明確

会議・委員会の目的が、報告か連絡か意思決定かなど、何をするための場なのかが明確になっていなければ、会議に参加する意義がありません。

2.参加者・時間配分の適切さ

目的を実現するうえで、どのくらいの時間の会議がどの頻度で必要か。メンバー構成など、最初の設定が誤っていると、会議を効率的に開催することができません。

3.参加者の意識

目的が理解できていない、時間通りに終わらせる気がない、自分がなぜこの会議に招集されたのかがわからないなど、参加者の意識が低いと、会議開催の目的を実現することはできません。

3.ある病院の会議の状況

この病院は毎月2回、各回1時間30分、参加者45名の会議を開催していました。この会議だけでなく、他にも一定の職位になると、月6回程度の1時間以上の会議参加が求められていました。

<ある会議の状況>

※会議責任者は以下の問題意識を持っており、会議を見直したいとのご要望をいただきました。

・時間が長い。目的が不明確。参加者の発言がない(そもそも発言の機会がない)。この会議時間を短縮してもっと現場マネジメントに使いたい。
表・グラフを確認すると、報告と連絡で会議時間の約85%を占めています。この報告・連絡の時間は、ほぼ資料の読み上げでした。現状確認のための参加者アンケートでは、約80%の参加者が見直しが必要と考えていました。この事実は特異なことではなく、多くの病院でも見られます。言い出せない、言っても仕方がないなどの状況により、会議が改善されないまま時間の無駄遣いが続いていることになります。

<アンケート結果 師長会の変更が必要か否か>
グラフ, 円グラフ

自動的に生成された説明

この病院では、まずは会議の目的を明確に、そして会議でどれだけの時間が報告・連絡に費やされているかを表やグラフにして周知しました。また、この時間が現場マネジメントに使えるとどうなるかを考えていただき、会議責任者とともに、目的を含め今後どのような会議体にするのかを協議していただきました。

その結果、同じような内容の会議(各毎月1時間30分開催)を併せたせた会議とする。また、会議時間は1時間とする。会議スケジュールは報告・連絡45分、ディスカッション15分とすることが決まりました。

しかし、全員が賛成したわけではありません。残りの18%は、会議時間が短くなると共有ができなくなるのではないか。それによる漏れや抜けがあったときにどうするのかなどの意見が出されました。

もっともな意見であり、この意見をどのようにまとめるかは会議・委員会を見直すうえでしっかりと対策を講じる必要があるテーマです。

この病院においては、以下の対策を講じました。

  1. 新しい会議を3回実施したら、改めてアンケートを取り、新会議が適切に運用できているかどうかを確認する。その後、毎年会議見直しのためのアンケートを取ること。(PDCAを回すルールを設定)※その期間、情報の何が漏れるおそれがありそうかを意識的に把握してもらうこと。

  2. 現場マネジメントに使った時間の効果もアンケートと問うこと。

  3. 反対派への個別説明の実施。

  4. 会議担当者だけではなく、幹部が会議変更の後押しをすること。

ポイントは、PDCAのルールを作ることと、変えたことによるメリットとデメリットを確認すること、そしてそれらを熱意をもって伝えることです。

会議の見直しはじめから上手くいくものではありません。変えたことで多少の不具合は必ず発生します。しかし、それを上回るメリットがあるかどうかが大切です。この点もあわせて確認することがポイントの一つです。

そして、特に重要なのはやはりチェンジメーカーの存在です。何事も変化を起こすときに反対意見は必ず出ます。しかし、それをしっかりと受け止め、改善しようと動くことができるチェンジメーカーの存在が一番大切となるのです。そのためにも、会議責任者に見直しは任せたからではなく、幹部としてどのように会議責任者をバックアップするのかの役割も決めておくことが重要です。


4.成果

* ●●会・●△会の統合
→ 3回/月の会議を2回/月

* 会議時間の短縮・・・2.5時間、2時間→1時間へ
→ ●●会2.5時間×2回/月×11か月=55時間/人
  ●△会2.0時間×1回/月×11か月=22時間/人
  計77時間/人/月(計924時間/人/年)

※単価2,500円/人/1時間
→計77時間:192,500円
計924時間/人/年:2,310,000円

コスト削減結果としては上記の結果となりました。

この削減された時間を現場に入ることに充て、患者さんへの価値、メンバーへの価値に移行できたとことが最も大きな成果ではないでしょうか。

会議・委員会を改善することはあくまでも手段であり、目的ではありません。目的は患者さんのためになる時間を増やすことです。このような視点のもと改善を進めることで、会議・委員会の見直しが、会議だけでなく、他の改善活動へも派生していくのす。

(参考)実際に会議・委員会の見直しのために使った6つの視点(FECRS)

視点

例えば

問いかけ

アイデア例

直す(Fix)

会議の目的や目標が不明確な場合、事前に明確なアジェンダを設定し、参加者が会議の目的を理解しやすくする。

そこにかける時間長すぎませんか?

・半分の時間で終わらせる

やめる(Eliminate)

定期的に行われるが、実質的な成果が見られない会議は、完全に中止する。

その時間は必要ですか?

・情報共有内容は事前に掲示、報告
・会議は問題の相談
・決定のみ ・重複作業をなくす
・「念のため」をやめる

まとめる(Combine)

類似する目的や内容の会議が複数存在する場合、それらを1つの会議に統合し、時間の節約を図る。

それ一緒にできませんか?

・同じメンバー、同じ内容にまとめる
・フォームは一つにまとめる

調整する(Rearrange)

会議の頻度が高すぎる場合、必要に応じて月1回の開催に調整する。

それどうしてもあなたですか?タイミングは適正ですか?

・他の人にお願いする(委任する)
・会議への参加者の人数を制限する
・動画にする(テクノロジーを使う)
・別のタイミングでする

簡素化する (Simplify)

会議の手続きや形式を簡略化し、議事録のテンプレートをシンプルにすることで、効率的な会議運営を目指す。

もっと簡単にできませんか?

・報告書はひな型で短く
・書くのではなく、選ぶ
・誰にも(自分でなくても)すぐできる。
・考えなくてもできるようにする。
・予想のつく形にする、先に決めておく (作業は調整のみ)

適正化する(Appropriate)

会議の参加者を適正化し、関連性の低い参加者を減らすことで、より集中的かつ生産的な議論を行う。

それは何のためですか?昔からやっているから、、になっていませんか?

・目的が現状に沿っている
・適材適所を考慮している

(参考)よく見られる会議・委員会の7つのムダ

ムダの種類

例えば

加工のムダ

会議での加工のムダは、必要以上に詳細な議題の検討や過剰な資料準備、冗長な議論を指します。これにより、本来の目的から逸脱したり、時間の無駄を生じさせます。
・会議でのプレゼンテーションが過剰に複雑で、聞き手には必要のない情報が多すぎる。
・会議の議事録が詳細すぎて、要点が埋もれてしまう例。

在庫のムダ

不良のムダは、会議での誤解や誤った情報の共有です。これにより、後に訂正が必要となり、追加の時間と労力が発生します。
・誤ったデータや情報が会議中に共有され、後に訂正が必要となるケース。

不良のムダ

不良のムダは、会議での誤解や誤った情報の共有です。これにより、後に訂正が必要となり、追加の時間と労力が発生します。
・誤ったデータや情報が会議中に共有され、後に訂正が必要となるケース。

手待ちのムダ

会議における手待ちのムダは、開始の遅れや参加者の準備不足による時間のロスです。また、決定が遅れることも含まれます。
・会議開始時の参加者の遅れや、会議の開始準備に時間がかかること。

作りすぎのムダ

作りすぎのムダは、必要以上に多くの会議を設定したり、関係のない人を巻き込むことで発生します。これはリソースの無駄遣いとなります。
・定期的な会議が多すぎて、そのほとんどが形式的で生産性が低い。
・会議の参加者が多すぎて、大半の人が発言する機会がない状態。

動作のムダ

会議における動作のムダは、効率的でない会議の流れや、不要な議題の提起を指します。これにより、参加者の集中力が散漫になり、生産性が低下します。
・会議のアジェンダが不明確で、話題が頻繁に変わり、集中できない場合。
・会議中に必要な資料や情報を探すために時間を無駄にすること。

運搬のムダ

会議での運搬のムダは、物理的な資料の移動や、無駄な場所変更による時間と労力のロスを意味します。デジタルツールの活用によって、このムダを減らすことができます。
・会議のために大量の印刷資料を準備し、運搬すること。
・会議場所が頻繁に変わり、参加者が移動に時間を使うケース

この記事を書いた人

著者名

兄井 利昌

役職

業務プロセス改善コンサルティング部
部長
総務省アドバイザー

業務改善・働き方改革・医師人事制度構築などに精通。徹底した現場主義と、個々に寄り添うフレキシブルな対応力で、多くのファン顧客を抱える。

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