株式会社日本経営

【病院改革コラム連載 第5回】仕組みだけでなく文化を変える ― “動き続ける病院”をつくる

著者名

兄井 利昌

2025年11月24日

(全5回シリーズ「看護部から病院を変える」)


第1回から第4回まで病院改革の3つのステップを紹介してきました。

① 稼働病床を増やす(収益を増やす)
② 人件費を適正化する(コストを整える)
③ 生まれた利益を未来へ再投資する(持続可能性をつくる)

これらの改革によって病院は確実に動き出します。
しかし、ここで終わると、また元に戻ります。
改革を“一過性”で終わらせないためには、「仕組み」ではなく「文化」を変えることが必要です。


■ 仕組みは作れる、でも“続かない”

多くの病院で、業務改善やプロジェクトは立ち上がります。
けれど半年後には止まり、1年後には形骸化する――。
これは仕組みの問題ではなく、文化の定着構造が欠けているからです。

たとえば、

  • 現場が「また新しい取り組みか」と感じている

  • 改善が一部の人だけに依存している

  • 経営層の関心が一時的で、継続の仕組みがない

つまり、「やり方(How)」があっても、「在り方(Why)」が共有されていないのです。


■ “文化を変える”とは、行動が変わること

文化とは、「人が見ていないところで何をするか」という日常の行動です。
そしてその行動は、考え方・共有・対話の量で変わります。

私たちは、次の3つを通して「文化を変える仕組み」を支援しています。

① 現場が考える時間を設ける
 忙しさの中でも、振り返り・対話・分析の時間を確保。
 「考える文化」を習慣にする。

② 成果を“見える化”し、称える
 改善の成果(稼働病床・時間短縮・離職減少など)をデータで共有し、
 チーム全体で「変化を実感」できるようにする。

③ 看護部が“伝える文化”を育てる
 成功した取り組みを他病棟へ展開。
 看護部自身がファシリテーターとして改善を広げていく。

こうして、「経営が進める改革」から「現場が動かす改革」へと転換していきます。


■ 看護部が変われば、病院が変わる

病院は“制度”で動くのではなく、“人”で動きます。
そして、最も多くの人を抱える組織――それが看護部です。

だからこそ、看護部が変われば、病院は変わります。
稼働病床の改善も、人件費の適正化も、DXも、すべては「看護部が主体的に動ける文化」をつくることから始まります。

私たちは、看護部を中心に、制度(仕組み)・プロセス(業務)・文化(人の動き)の3層を同時に変えることで、“病院が動き続ける仕組み”をつくります。


■ 持続的に動き続けるための条件

病院が持続的に動き続けるには、次の3つの条件が欠かせません。

条件

内容

目的

① 構造が見えること

データ・業務フロー・数字で「現実」を把握

感覚ではなく、構造で語れる組織にする

② 改善が続くこと

PDCAを2週単位で回す仕組みを内製化

改善を“特別なこと”でなく“日常”にする

③ 学びが広がること

成果を共有・発表し、他部署に展開

病院全体で学び合う文化を育てる

この3つが整うと、改革は“プロジェクト”から“文化”へと進化します。


■ まとめ

仕組みは改革の“始まり”にすぎません。
文化が変わるとき、病院は動き続けます。

看護部が自ら考え、他部門と連携し、成果を広げていく――
その姿こそが、「看護部から病院を変える」改革の本質です。


■ 5回シリーズを終えて

この連載でお伝えしたのは、単なる業務改善ではなく、病院の経営構造そのものを変えるプロセスです。

  1. 人がいても動かない構造を変える

  2. 稼働病床を増やし、収益を取り戻す

  3. 人件費を整え、持続的な組織にする

  4. 利益を未来へ再投資する

  5. 仕組みを文化へ昇華させ、病院を動かし続ける

この一連のプロセスを、私たちは“看護部から病院を変える”と呼びます。
看護部が変わると、病棟が変わる。
病棟が変わると、病院全体が変わる。

そして、その変化が地域医療の未来を支える力になります。


結びに

病院改革とは、誰かの指示で進むものではありません。
“現場の気づき”と“経営の意志”が重なったときに、本当の変化が生まれます。

その接点をつくる――それが、私たちのコンサルティングの役割です。

看護部から病院を変える。
この挑戦を、共に歩む仲間として。

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病院経営改革提案:看護部から始める収益向上と持続的成長

この記事を書いた人

著者名

兄井 利昌

役職

業務プロセス改善コンサルティング部
部長
総務省アドバイザー

業務改善・働き方改革・医師人事制度構築などに精通。徹底した現場主義と、個々に寄り添うフレキシブルな対応力で、多くのファン顧客を抱える。

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