「となりの看護部」から始まる、看護部主導の病院改革
― 神戸市立医療センター西市民病院での実践セミナーが示した“現場から変わる力” ―

2025年11月1日、神戸市立医療センター西市民病院にて「となりの看護部」実践セミナーを開催しました。
今回のテーマは、“看護部から病院は変えられる”という確信を、実際の病棟での学びと対話を通じて体感していただくことでした。
当日は、事前の会場設営から看護部管理室が総出で参加され、参加者の迎え入れ、挨拶、案内に至るまで、病院全体で“ホスピタリティのある学びの場”をつくりあげてくださいました。
その姿勢こそが、今回のセミナーの成功を象徴しています。
冒頭、中村院長から「看護部の取り組みについて、患者と向き合う時間を大切にすることからこの取り組みを始めたことはとても素晴らしい。」と院長自ら一緒に取り組みを推進されていました。また、当日は事務務局長もご参加されるなど、病院全体で取り組んでいると感じました。

中村 一郎 氏 神戸市立医療センター西市民病院 院長

稲田 浩司 氏 神戸市立医療センター西市民病院 事務局長
■ 看護部が語った「成果」と「壁」

吉田直子氏 神戸市立医療センター西市民病院 副院長 兼 看護部長
セミナー前半では、西市民病院看護部より、注射業務改善を中心とした実践報告が行われました。
単なる手順改善ではなく、患者価値を中心に据え、現場の流れを整えることが病棟の生産性を上げるという視点が共有され、参加者から強い納得の声が上がりました。
特に印象的だったのは、
「壁に見える問題の多くは、実は“本質的な課題”ではない」
「現場の課題は実は自分たちの関わり方にあった」
という看護部の気づき。
それは、単なる業務改善の手法やテクニックの導入ではなく、「なぜムダが生まれているのか」を徹底的に掘り下げ、その背景にある組織文化やマネジメントの在り方まで踏み込んで変えていく―まさに“改善の本質”に迫る内容でした。
■ NKリーンが伝えた「改善は手段ではなく目的」
続く講義では、日本経営よりNKリーンの考え方をお伝えしました。
改善活動は“手段”ではなく、患者価値を最大化し、病院を動かすための“目的”である
看護部の成熟は、稼働病床・退院支援・人員体制・離職防止など、経営に直結する
こうした視点は、参加者の皆さまにとって“改善=現場の負担”ではなく
改善=病院の未来をつくる投資
であるという認識の変化につながりました。
■ 病棟ラウンドで起きた「患者の視点で見る」体験
ハイライトは、実際の病棟ラウンドです。
6階・7階へのチームラウンドなど、現場そのものを体感し、
そのうえで「患者の視点」でどのような不具合が起きているのかを議論いただきました。
患者が迷うポイント
環境整備のポイント
情報が途切れる瞬間
待ち時間が発生する構造
“普段は当然と思っていること”が、他病院の視点を通すことで“課題”として浮き彫りになり、参加者からは次々と新しい気づきが出てきました。

■ 他病院との交流がもたらした価値
セミナーのもう一つの成果は、参加者同士の関係性の深まりでした。
自院では当たり前になっていたことが、他院では課題になる
他院の工夫が、自院のヒントになる
立場の異なる看護師同士が、同じ目線で現場を語り合える
こうした“組織を超えた学び”こそが「となりの看護部」の醍醐味です。
西市民病院からも、
「外部の視点は大きな気づきになった」「看護部の人脈が拡がった」
といった声が寄せられました。
院内にとどまるのではなく、
看護部同士がつながり、学び合い、未来をつくる場が生まれた
ことが、今回の大きな成功と言えます。

■ そして次へ——2026年4月18日、亀田総合病院へ
今回の学びは、ここで終わりではありません。
2026年4月18日には、亀田総合病院にて次回の「となりの看護部」が開催予定です。
「となりの看護部」は、単なる見学会でも、講義中心の学びでもありません。
看護部の成長を通じて、病院の未来をつくる“実践の場”です。
これからも、看護部を起点に病院全体の価値を高める取り組みを広げていきます。
■ 最後に
看護部には、病院を動かす力があります。
今回のセミナーは、その確かな手応えを得られた一日でした。
患者価値を高める
組織をつなぎ、学び合う文化を育てる
看護部から病院経営を変える
その第一歩を、私たちはまた一つ前に進めることができました。
この記事を書いた人

著者名
兄井 利昌
役職
業務プロセス改善コンサルティング部
部長
総務省アドバイザー


業務改善・働き方改革・医師人事制度構築などに精通。徹底した現場主義と、個々に寄り添うフレキシブルな対応力で、多くのファン顧客を抱える。

